
病院で「椎間板ヘルニア」と診断されるとよく言われるのが、
「運動不足で筋肉が弱っているからヘルニアになるんです。腹筋背筋などの筋トレをして筋肉をつけてください!」
このように言われる方が多いのではないでしょうか?
しかし、臨床でみていると筋肉が弱って痛みが悪化しているケースは少ないです。
椎間板ヘルニアが悪化するのと運動不足で筋肉が落ちているのはあまり関係がないことが多いです。
この記事ではその理由と、正しいヘルニア改善法について詳しくお伝えしていきます。
目次
椎間板ヘルニアと運動不足が関係ない理由
こんにちは。大阪市城東区の【桜花整体院】院長の寺田昌弘です。
椎間板ヘルニアは運動不足で筋肉が弱っているからなる。
この考えをお持ちの方が多いのですが、実は正しくありません。
(とはいえ、運動不足は体には良くないので、適度な運動は行うようにしてくださいね)
なぜここまで言い切れるのこというと、当院に来られている患者さんで、毎日運動や筋トレをしているにもかかわらず、椎間板ヘルニアと診断されて来院される方が多いからです。
「整形外科で腹筋と背筋をしろと言われたので、頑張ってしているのですが、全然良くならないんです。」
「体に気を使って毎日ウォーキングや体操をしています。なのになぜヘルニアになってしまったのか全然わかりません。」
このような悩みを抱えている人が当院には数多く来院されます。
もし運動不足が原因なら、筋トレや運動をして筋肉を鍛えたら良くなるはずですよね。
にも関わらず全然良くならない。
その時点で運動不足が原因である可能性は低いのです。
運動不足が原因でないなら、何がヘルニアに関係しているのか?
運動不足以外で何が原因でヘルニアになってしまうのか。
それをお伝えする前に、そもそもなぜヘルニアになってしまうのかをご存知ですか?
上の白い部分が背骨です。
その背骨の間にある肌色のものが椎間板です。
椎間板ヘルニアとは、この骨と骨の間にあるクッションが上下から圧迫され、赤色の部分のように飛び出して神経を圧迫してしまう症状のことをいいます。
この上下にかかる圧が強ければ強いほど、ヘルニアになる可能性が高くなってしまいます。
このことから、椎間板ヘルニアは運動不足で筋肉が弱っているかよりも、椎間板にどれだけ圧をかけているかが原因につながってくるのです。
では、どのような時に椎間板に圧が加わりやすくなるのか。
それは、姿勢です。
あなたは普段どのような姿勢で過ごすことが多いですか?
普段何気なくしている姿勢で、椎間板にかかる負担は全然違ってきます。
あなたは普段このような姿勢で座っていませんか?
このような姿勢は骨盤が後ろに倒れてお腹の前が縮むような姿勢になります。
椎間板ヘルニアは体の前側が上下に圧迫されることで、後側に飛び出しやすくなります。
例えば、仰向けに寝ている時と、ソファーにだらんとした姿勢で座っている時では、どちらの方が椎間板に負担がかかると思いますか?
実は、だらんとした姿勢で座ると、仰向けで寝ている時の9倍から10倍の負荷が腰にかかると言われています。
このような負担のかかる姿勢で毎日過ごしていると、椎間板ヘルニアになってしまいます。
椎間板ヘルニアと診断されたら、運動不足を解消するのではなく、まず日常生活の中でいつ椎間板に負担をかけているのか。
ここを突き止めていくのが重要になってくるのです。
【警告】筋肉が落ちているからと思い筋トレすると、逆にヘルニアを悪化させてしまいます
椎間板ヘルニアの原因は筋力低下よりも、日常生活の姿勢が影響しているということはご理解いただけましたか?
このことを知らずに闇雲に筋トレをしてもまったく意味がありません。
逆に間違った筋トレが、椎間板ヘルニアを悪化させてしまう危険性があります。
その代表的な筋トレが上体起こしの腹筋運動です。
「整形外科でヘルニアは腹筋が弱っているからだ!」と言われて上体起こしの腹筋を頑張っていたという方が当院にも多く来院されます。
しかし、上体起こしの腹筋をすることで、実は椎間板にかなり負担をかけているのです。
椎間板ヘルニアは体の前側が上下に圧迫されることで、後側に飛び出しやすくなります。
上体起こしの腹筋運動も前を縮める方向の運動ですよね。
つまり、上体起こしの腹筋運動は、実は椎間板に自分で負担をかけているようなものなのです。
ヘルニアが良くなると思って腹筋運動を続けているのに逆に悪化させてしまっています。
椎間板ヘルニアを改善するための正しい運動法
「椎間板ヘルニアになる原因が運動不足でないことはわかりました。
ただ筋トレがダメなら、具体的に何をすればいいんですか?」
このような疑問の声が聞こえてきそうなので、最後にお答えしていこうと思います。
まず正しい改善法をお伝えする前に筋肉には大きく分けて2種類あるのをご存知ですか?
1つ目は、体の表面にある大きな筋肉である「アウターマッスル」です。
上の図のような筋肉がアウターマッスルで、これらの筋肉が縮んだり伸びたりすることで体を動かせています。
2つ目の筋肉が体の奥にある、体を無意識で支えてくれている「インナーマッスル」という筋肉です。
インナーマッスルは無意識で使っている体の奥にある小さな筋肉で、これらが働くことで人間はバランスを保つことができています。
普段の姿勢の時はインナーマッスルが働くことで無意識で体を支えてくれる。
意識的に動く時はアウターマッスルを意識的に使っている。
これが正しい筋肉の使い方です。
しかし、腰痛の人や椎間板ヘルニアや狭窄症になる人はこの筋肉のバランスが崩れているケースが多いです。
人間は立ったり歩いたりしている時、インナーマッスルを使うことで体を支えることができています。
しかし、人間は姿勢が悪くなると、インナーマッスルを使うことができなくなります。なぜなら重心が崩れていると骨で支えられないので、普段は使わないアウターマッスルが頑張らないといけなくなる。
これが、痛みを悪化させる原因なのです。
こうならないために姿勢を正しくしていくことはもちろん大事なのですが、骨盤を起こして歪まさないことが大事になります。
なので、改善するためには以下の手順で対処を行う必要があります。
①骨盤周りの筋肉の緊張を緩和する。
②身体の歪みをとりバランスを整える
③痛みが改善されてきたら、インナーマッスルを鍛えるトレーニングを行い鍛えていく。
①②③を順に行っていくと正しい姿勢が身についてくるので、椎間板の負担がかからない姿勢に変わっていく。
この手順を知らずに腹筋のような筋トレをしてしまうから悪化してしまうんです。
だからいつまでも椎間板ヘルニアが改善されないのです。
では、具体的にどのようにして骨盤周りの筋肉を緩めて、骨盤の歪みを整えていくのかをお伝えしていきます。
骨盤を整える方法
①骨盤周りの筋肉の緊張を緩和する体操
この運動法は体に負担がかからず、全体の筋肉の緊張を緩和してくれます。
痛みのない範囲でまず実践してみてください。
②腸腰筋のストレッチ
椎間板ヘルニアになりやすい姿勢をしている方は、前側の筋肉が硬くなっています。
前側の筋肉、腸腰筋のストレッチをしていただき、骨盤を起こしてあげましょう。
インナーマッスルを鍛えるトレーニング法
では、次にインナーマッスルを鍛える代表的なトレーニング法をお伝えしていきます。
・多裂筋のトレーニング
体幹トレーニングは他にも色々なやり方があるのですが、まずはこの「多裂筋」という筋肉を上手く使えるようにしていきましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアは運動不足が原因ではなく、椎間板に負担をかける姿勢が原因であることが多いです。
このことを知らず、病院や整形外科で指導された腹筋運動をすると、逆に症状を悪化させてしまいます。
椎間板ヘルニアに限らず、体は原因に対して正しい対処の手順があります。
今回のブログを参考にしながら、正しい対処を実践し、あなたの椎間板ヘルニアの症状改善に役立てていただければと思います。